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2018.04.05
黄水仙
黄色い花はいち早く春を呼ぶ花。
ミモザに始まり、ウィンタージャスミン、レンギョウ、プリムラにパンジーなど。
そして、一斉に顔を揃える黄色い水仙たち。
中でも、ラッパを吹き鳴らすようなラッパ水仙は私の大好きな黄色い花。
それから、最近<テータテート>と名付けられた、とても花付きのよい小振りの丈低い黄色い水仙を、あちこちでよく見かけるようになりました。
花付きが大変よく、ほったらかしでもとても丈夫なのが、その秘密なのでしょうね。
私も数年前から花壇に植え込んでいますが、この季節どんどん増えて華やかに花咲かせてくれる嬉しい花のひとつになりました。
因みにテートとは顔を寄せ合うという意味があるそうです。
顔を寄せ合って秘密のお話をしているような可愛らしいネーミングにぴったりですね。
でも、残念なことには、この黄色い水仙にはちっとも香りがありません。
そういえば、幼い頃、実家から少し離れた地域で仲良くなったお友達に、まるこちゃんっていう名前の女の子がいました。
今ではちびまる子ちゃんが有名になりすぎて、何とも親しみやすいお名前ですが、私が小さな頃にはまるこちゃんと名付けられた方は、後にも先にも彼女だけでした。
それに、未だにその名前の方には、彼女以外には出会ったことがありません。
子供心に面白い名前だなあ~と思っておりましたが、彼女の名付け親はおじい様で、その理由が丸いものが大好きだったからだそう・・・
たしか甘いお饅頭が大好きだったからとか・・・面白い!
あら、黄色い水仙の話に戻します。
そのまるこちゃんの家の大きなお庭のヘリには、黄水仙のとてもよい香りの水仙が沢山植えられてありました。
その葉がとても細い特徴や良い香りがするゆえに、他に糸葉水仙、糸水仙、匂い水仙、ジョンキル水仙とも呼ばれているようです。
初めてその花の香りを嗅いだ時の感激は、今でもしっかり記憶に残っています。
まるこちゃんとしばし遊んだ後、帰りに憧れだったその良い香りの黄水仙を、根っこごと分けて貰いました。
家に帰り着くまでは子供が歩いて結構長い道程でしたが、道々花の香りを嗅ぎながら本当に嬉しくて嬉しくてたまらなかったのを覚えています。
それで、この黄色いテータテートの水仙を眺めていたら、あの黄水仙のたまらなく良い香りが思い出されて仕方なくなり、園芸店で探してみましたが、なかなか見つけられません。
そうだわ、実家にはあるかもしれない・・・
そう思いたって電話をしましたら、母が直ぐに花の咲いているうちにと、沢山の黄水仙を苗ごと送って来てくれました。
すぐに鉢に植え込みましたが、今年は球根を育てることにして、花は惜しみなく全て切り花にしました。
こんなに沢山の切り花の黄水仙の花束は、もう二度と作れないかもしれません。
庭で咲かせたら、ずっと庭に飾ったままにしておきたいですからね。
思った通り、黄水仙の花束は、部屋中を甘い香りで数日間満たしてくれました。
花に元気がなくなってきたら、その束のままドライフラワーにします。
意外と水仙は綺麗なドライフラワーに仕上がるのですよ。
もしかして、この黄水仙は私がまるこちゃんから頂いたものが増え広がったのかしら・・・
今となってはそれは定かではないのですが、とにかく私にとって黄水仙の甘い香りはまるこちゃんの優しさが一杯々々つまった大切な大切な思い出の花なのです。
今頃彼女はどうしているのかしら?
この花の香りのように、きっと優しいご家庭を築いてお幸せだと信じつつ・・・
2018.4.5 小出 麻由美