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2006.06.26

笹百合の想い出

百合1正

百合は大好きな花の一つですが、中でも淡いピンクの笹百合が一番好きです。


その名前の由来は笹のような葉を付けていることから。


 


実は、この大好きな笹百合の花にはとても哀しい想い出があります。


 


私の愛車のメンテナンスを引き受けて下さっていた方が、青年の面影を残したままのとてもさわやかな方で、偶然にも長女の同級生のお父様でした。


何度か我が家に出入りして下さっている内に、色んなお話をするようになり、彼の一番好きな花が、笹百合だと教えて下さいました。
私はよく人に、「好きな花は?」と尋ねるのですが、固有名詞で返ってくることは少ないように思います。


ましてや男性に、この質問をすることはほとんど無いのですが、きっと会話が弾んだせいでしょう。


 


彼は、毎年この季節になると、必ず山間の笹百合の群生地へ足を運び、沢山手折って奥様にプレゼントするのだそうです。


私も行ってみたいと思ったのですが、残念ながら蝮のいる危険なところだそうで、諦めました。


私も大好きな花だと告げると、それ以来、私にまで必ず届けて下さるようになったのです。


毎年この季節、不意に届けて下さる感動は、今でも忘れられません。


何かお礼がしたいと思いついたことは、笹百合を描いてプレゼントすること!


そう思っている矢先に、彼の方から言いにくそうに


奥様が私の描く花が大好きで、クリスマスプレゼントに笹百合の絵を贈りたいとのこと。


もちろん、二つ返事で引き受けました。


クリスマスまでには、一月以上ありましたが、早めに彼にお渡ししたら、


後で、クリスマスが来るのがあんなに長く思えたことがなかったとおっしゃっていました。


 


ゆり2「家内があんなに喜んだ姿は見たことがない。仕事から戻るたびに、絵の位置が変わっていて、探すのが大変なんですよ!」と笑いながらこちらまで嬉しくなるお礼の言葉を下さいました。


いただくよりも贈る方が嬉しいことってあるのですね。


 


 


 


 


 


でも・・・それから何年も経たないのに、彼は突然の事故でこの世を去ってしまいました。


たった独りで・・・・


 


もうあれから何年が過ぎるのでしょうか。


大好きなこの百合を思うたびに彼のさわやかな青年のような笑顔を思いだします。


 


 


 


  2006.6.23 小出麻由美



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