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2006.09.15
うす紫の貴婦人
うす紫の秋風に揺れる優しい花。紫苑<しおん>。
私の実家のお向かいの庭に、秋になると沢山の背の高いその花が風にそよいでいました。
そこに住む優しい小母さんが、「欲しい時は何時でも遠慮しないで持って行ってね。」とよく私に声をかけて下さっていました。
小母さんはリュウマチを患い身体が思うように動かなかったので、いつも縁側に座って庭を眺めて過ごしていらしたようです。
紫苑の花は、昔我が家の庭にも一杯あったのにいつの間にか姿が見えなくなっていました。
私は、婚約期間の一年間は、仕事を辞めて実家で家事手伝いをしながら、ゆっくりと過ごしておりました。今から思えば、夢のような時間です。
それで、少女の頃に習っていたお茶のお稽古を再開することにして、久し振りに大好きな素敵なお茶の先生を訪ねることにしました。
花の大好きな先生へのプレゼントにどんな花束をつくろうかと悩んだ挙げ句、紫苑の花だけ束にして届けることに決め、小母さんに沢山紫苑をいただきました。
そのお茶の先生は、実は、私が中学生の頃に習っていた先生の親しい友人で、数える程しかお会いしたことがなかったのですが、以前の先生が遠くへ引っ越されたのでお願いすることにしたのです。
紫苑の花束を抱えて先生にご挨拶をして手渡すと、先生が感嘆の声を上げて下さいました。なんと、先生が一番お好きな花が紫苑だったのです!
私は、花好きの方に差し上げる花選びはとても慎重なのですが、こんな偶然は生涯忘れない程嬉しい想い出になっています。
先生は少女の心を残したままの感性豊かなとても素晴らしい方で、私が生涯の中で出会った素敵な女性を挙げるとしたら、語らずにはいられない方です。
以前教えて頂いていた先生もとてもとても素敵な方だったので、その親しいご友人となれば、当然でしょう。
先生から伝授していただいたのは、お茶の作法だけでなく、人への優しさ、生活の潤い等々殊に心に残っているのは、先生の手作りのニオイスミレを浮かべたうす紫の高貴なお茶<このお茶の作り方は、別のブログ、いのちのことば社表紙によせて2月号*海辺の薄紫の絨毯と、すみれ茶と、としちゃんと*をご覧下さい>です。
本当にあの時の感動は、今も少しも色褪せておりません。
先生は、<赤毛のアン>に登場しているラベンダー夫人のような方です。
考えて見れば偶然にも、紫苑もスミレ茶もラベンダーもみんなうす紫です。
最近、忙しさにかこつけて先生にご無沙汰ばかりしている私です。
紫苑の花が咲いてる季節に、うす紫の便箋でお便りを綴ってみましょうか。
うす紫の貴婦人に。
2006.9.14 小出 麻由美
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