夏の夕暮れ、私の実家はおしろいばなの甘い香りで一杯でした。暑かった一日が終わるころ、濃い茜色の花が一斉に開き、その花に群がるように女の子たちが近所から集まってきます。
小さなラッパのかたちをした花のめしべおしべを抜き取って、花笛を鳴らしたり、花冠や花首飾りを作ったり・・・
丸い黒い種粒を両手一杯に集めるのも喜びでした。翌日のままごと遊びの食材のために。

杏色の夕焼け空を背に、しあわせに充ち満ちた一時でした。
幼い頃、そんな想い出をたくさん作れたことに感謝です。

残念ながらこの花の苗もとても大きくなるので、都会の庭には不向きで見かけません。きっと、今の子供達もこんな遊びができたら、夢をたくさん持てて感性をいっぱい育てられると思うのですが・・・

この花の名前の由来は、黒い種の中の白い実をつぶしておしろいを作っていたことからだそうで、なかなかロマンティックですね。なんか美しくなれそうな・・・

２００６．８．８　　　小出　麻由美

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