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2006.08.31

エンジェルストランペット

十代の頃、私の実家に百合に似た沢山の白い大きな花をつける草木が一本ありました。



エンジェルトランペット

父がどなたかに分けていただいた苗が、ぐんぐん伸びて年々花数が増えてゆき、二.三年後には、何と!その花の数は百を超えるようになったのです!!
夏の我が家の代表的な花になり、時折お客様が何処からか噂を聞いて見に来られるようにまでなっていました。
殊に黄昏時は、その白い花が淡い香りとともに一段とその白さを増し、幽玄に咲き誇る姿は、それはそれは花の女王様のようでした。


その時聞いた花の名は、確かチョウセンアサガオだったと思います。正式には、キダチチョウセンアサガオですが、儚げなアサガオの花のイメージが全くなかったので、子供心にどうもしっくりこなくて違和感を覚えていたものです。
大人になってから、別名エンジェルストランペットと呼ばれていることを知り、そのぴったりのネーミングにとても感激したものです。そう、正に天使が吹き鳴らしそうなかたちなんですもの!名前ってとても大切ですものね!


赤毛のアンが、「ローズは、たとえどんな名前で呼ばれたとしても甘く香るって本で読んだけど、絶対そんなことないと思うわ!だって、ローズがシスル<ハリネズミ アザミのこと>やスカンクキャベッツ<座禅草>という名前で呼ばれていたら、あんないい香りはしないはずよ!」とおしゃべりするくだりがあるのですが、私も同感!「よかった!薔薇が、ジャガイモやタマネギという名前でなくて!」と思ったものです。


残念ながら、いつの間にか実家のエンジェルストランペットは、庭から姿を消してしまいましたが、今でも私の心の中の庭には、あの時の美しい花が咲き誇っています。
そう、花の数だけの天使も一緒に!


2006.8.30     小出 麻由美



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