ブログ

Blog

2016.11.09

ストックの香り

5

私が少女の頃には、まだ日本にはなかった花のように思います。
誰の詩だったのか、どんな内容の詩だったのかももう忘れてしまったけれど、<アラセイトウは夜に匂う~>という美しい詩のフレーズだけが未だにふと思い出されたりします。
アラセイトウ?どんな花でどんな香りがするのか、夢見る少女の頃の私がとても興味深く感じていたことを覚えています。

時が過ぎて、そのうちにアラセイトウとはストックという大変香りよき花だと言うことを知りました。
それから、お花屋さんのガラスのショーケースの中で、美しいすらりと丈の伸びたストックの花姿を見かけるようになり、時折同色を束にして飾ってその美しい花と香りを部屋で楽しんだものでした。

そういえば、最近あまりショーケースの中で見かけることがなくなって飾ることもなくなったストックです。
が、昨年くすんだアプリコットカラーの素敵な矮性のストックを園芸店にて苗で見つけました。
上手く育てられるかしら?と初めて手にした苗を一回り大きな鉢に植えつけ、玄関先の軒下で育ててみました。
驚いたことに、真冬の寒い雪の日も健気に花を香らせ、次の夏まで花が途絶えることなく咲き続ける丈夫な花だということを知ったのでした。

それで、今年も同じ花色を探したけれど、既に売れ切れだったのでくすんだ深いピンク色の苗を植え込みました。

1

次の日の夜、うっかり忘れていた裏の洗濯物を取り込んでいた時のことです。
何処からか今まで香って来たことのない花の濃厚な甘い香りがしてくるではありませんか!
この甘い素晴らしい香りは、お隣のお庭の花かしら?
そういえば夜香花に似ている香りだから、もしかしたらもう咲いているのかしら?
と慌てて玄関に出て、夜香花を見に行きましたが、まだまだ固い花の蕾。
でもここでも匂う濃厚な花の香。
一体何の花?確かに我が家の庭で咲いているはず~
見渡してその花の香元を探ってみましたら、植えたばかりの小さなストックの花から香ってくることが判明!

まさかこんな小さな花が遠く離れた裏の軒下にまで香っていたなんて、思いもよらない嬉しい発見でした。
花の持つ力の大きさ、神様のみわざの素晴らしさを再認識した私は、しばし感動したものです。
それで、再び私は園芸店に行きあと白と薄紫二色のストックを買い足して、三つの鉢を並べました。

3

4

玄関を出這入りするたびに、長い期間こんな素晴らしい花の香りに包まれるなんてこんな素敵なことはありませんからね。

2016.11.1     小出 麻由美

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。