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2009.04.25
テス <苺の季節>
高校生の頃に読んで感動した小説。
読書感想文を書いて県下で表彰して頂いた想い出深い一作です。
確か原題は<ダーヴァーウィル家のテス>でした。
ダーヴァーウィルという貴族の名門に生まれながらも、没落して貧困の中に暮らす薄幸な運命を辿った美少女の物語。
親の策略により、その親族の名を語る裕福な家を訪ねたことにより始まったテスの不幸。
その家の卑劣な主により美しい菫色の瞳を持つ少女が彼に陵辱されてしまい、未婚のまま妊娠、出産、子供の死を体験。
後にやっと心から愛する人に巡り逢えたものの、過去のそれらの出来事を受け入れて貰えず、彼女は自分を犯した主を憎み、殺害し死刑となってしまうという波瀾万丈の筋書き。
そんなどろどろとした内容なのに、何故か読み終わったあと、美しさが一番残る不思議な物語。
それは、イギリスの美しい田舎風景の描写と見目麗しく心清らかなテスが存分に著されていた作者トマス・ハーディー筆致のなせる技なのでしょう。
勿論、その翻訳者も素晴らしい故なのでしょうけれど、残念ながら私が読んだ翻訳者の名前は忘れてしまいました。
短大生の頃、日本ではあまりメジャーでなかったその小説が<最も西欧ではとても支持されていた物語だそうです>映画化されたので、驚きと共に喜び勇んで封切られた映画館へ走り込んだ記憶があります。
主演のナスタシャ・キンスキーという新人の女優がイングリッド・バーグマン再来と騒がれた美少女で、まるでテスのイメージにぴったりでした。
この小説を映画にしようと思い彼女を起用したポランスキー監督に拍手喝采を贈りたいです。
当時、その映画放映のために美しい映画のワンシーンが看板になり、街中に彼女のポスターが貼り巡らされものでした。
それは、初めてテスがダーヴァーウィル家を訪問した折りに、彼女が主に苺を頬張らせて貰うあどけないシーン。
麦藁帽子を被り白い綿のワンピースに身を包んだ清楚で美しい彼女に、摘み立ての瑞々しい赤い苺と、あどけないふっくらとした唇が可憐で、本当に一枚の絵のようなポスターに仕上がっていました。
今でもそのシーンは脳裏に焼き付いて忘れません。
その主の手から直接唇に押し当てられた苺を食べてしまったことが、テスの不幸への入り口になってしまったような・・・そんな暗示のある美しいワンシーン・・・
もしかしたら、自分の人生を作用する人との出逢いとはそんな事柄がはじまりだったりするのかもしれませんね。
<当時の映画館にて買い求めたパンフレットより>
苺、赤く実った美しい実。
この実を題材にした美しい短編、コールドウェル作<いちごの季節>もありましたったけ。
初恋をテーマに描かれた大変美しい甘酸っぱく切ない少年時代の回顧物語。
それから、俳優兼歌手の寺尾聡さんが大の苺好きで、苺畑にご自分がいてミルクの雨が降ってくる夢をご覧になられたとか!?
あるテレビのクイズ番組で知った、何ともロマンティックな忘れられないエピソードです。
苺に関して、私自身にはさしてロマンティックな想い出が無く残念ですが・・・<せいぜい庭で育て実った赤い苺の裏側をナメクジが食べていて台無しにされがっかりしたくらいのことだけ>
でも、その実を眺める度に、神のみわざの素晴らしさを褒め讃えられずにはいらないくらい、何時もその苺の色や形の美しさに見とれる私です。
苺は意外にも、バラ科の植物。
もしかしたら、そんな理由からも特別にロマンティックな果実なのかもしれませんね。
<私の手作り苺ジャムです>
今は、店先は一番美味しい苺の季節。
とよのか、さちのか、にょほう、あまおう、さがほのか・・・と次々により美しく大きく美味しい私の大好きな苺が店先に並ぶ季節です。
<私の手作り苺タルトです>
2009.3.16 小出 麻由美
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