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2006.07.08
五月の花嫁と鈴蘭のブーケ
<1994年5月「いのちのことば」表紙によせてに掲載された文章>
五月の花嫁になるのなら、鈴蘭の花束と決めていました。
主の導きがあり、私は願うより早く結婚することになりました。出逢った時、彼はイエス様のことをまったく知りませんでした。でも私が導くまでもなく、すぐに彼はイエス様を受け容れました。
彼には、二十年前に交通事故で寝たきりになった叔父様がありました。将来、その叔父様の面倒を彼が看る約束になっていました。知りあって間もなく、彼からその心の重さを打ち明けられ、私は深く彼に同情を寄せました。しかし、結婚となると話は別です。彼に求婚された時、私はその寝たきりの叔父様を抱えた彼と家庭生活を築く自身がまったくありませんでした。改めて愛のない自分自身に失望しながら、彼からの深い愛にも応えられず、その後の交際さえも断ってしまったのでした。祈りの中で平安のないままに・・・・・・。
それから数日後の土曜日の夜、教会の奉仕を終え帰路を辿る途中のことです。背後での大きな物音に驚き振り返ると、叔父様が遭遇された事故と同じ状況が私の目前に繰り広げられたのでした。当時の叔父様と同年配の方が、バイクで転倒し、身動き一つできない状態で横たわっています。茫然と立ちすくむ私の耳もとに、「おまえはこういう人も見離すのか。こういった人をだれが看るのか。おまえが看てやりなさい。」そう神様の御声がはっきりと聞こえてきたのです。
こうして不思議な主の導きにより、私は彼との結婚を決意することができたのです。叔父様はそれから八年目に亡くなりました。
結婚して十二年の歳月が流れました。これまでに数々の試練や困難があり、信仰をもったゆえの苦しみもたくさんありました。でも、イエス様を信じて従ってゆく時に、必ず助けと多くの祝福もくださいました。季節の花々をも通して、主は私にあふれんばかりの御愛を注いでくださいます。
毎年、結婚記念日には、ちょっぴり贅沢にたくさんの鈴蘭を買って、部屋を甘いたおやかな香りで一杯にします。そして、あの結婚式の花束を思い、幸せをその香りに重ねます。
ある年の結婚記念日に、友人がたくさんの鈴蘭の花束を贈ってくれたのも忘れられない思い出です。