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2013.04.30
山桜
今年の桜は、早く咲き早く散り、ほんの数日しかその美しさを愛でる事ができなくて、がっかりなさった方も多いかもしれませんね。
何だか、人生の儚さにより重なった今年の桜でした。
私も毎年一週間は楽しむ桂坂の桜並木のお散歩が、今年は三日くらいしか叶えられませんでした。
満開の最中に強風にあおられて、咲いたばかりの桜がすぐ道のじゅうたんの模様と化してしまった有様。
でもそのおかげで、花房ごと道に落ちた花を拾い集めては、ガラスの器に水をたっぷりと注いで浮かべて楽しむ光栄に与れましたけれどね。
それから、今年は陶芸家の友人ご夫妻が京都で桜のお茶会を開催する幸運に恵まれ、我が家にも一泊だけお泊まり下さり、栃木から茶会のために用意した山桜の満開に咲いた美しい枝を置き土産にして下さいました。
早速、彼らを見送った後に彼に以前頂いた作品の焼き締めの素敵な器に活けて楽しみました。
桜散るのが早い分、その埋め合わせとして神様が彼を通して私に最高の桜をプレゼントして下さったみたいに感じました。
その友人ご夫妻曰く「山桜以外は美しい桜じゃない!」とのこと。
果たして、私はそんな風に思ったことなど微塵もありませんが、山桜の素晴らしさを篤く語るお二人を前に、ただ驚くことしかできませんでした・・・
山桜の花びらだけが枝から離れ舞い降りてきた時に、自然に掌に受けられる丁度よい花びらの厚みなのだとか・・・
しかし、彼らにそんなにまで愛される山桜の花って、それだけで何だか特別な素晴らしい花に思えたのは確かです。
でも、人里離れた山に暮らす彼らには山桜が庭にあるような身近な花でも、こちらでは訪ね歩いてもなかなか探すのが難しい桜です。
だから、実際ソメイヨシノでもベニシダレでもヤエザクラでもわたしにとっては、最高に美しい桜です!
ソメイヨシノの淡いピンクの花が儚げな女性だとしたら、凛と咲く限りなく白に近いピンクのしっかりとした花の木は、少し毅然とした男性的な花に思えたものです。
それにしても、こんなに近くでしばらく山桜を愛でることが叶って、本当に彼らに感謝です。
2013.4.30 小出 麻由美