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2009.12.13
映画 <戦場のピアニスト>
大好きなショパンのこの上もなく美しいノクターン(第20番 遺作)をピアニストが奏でるシーンで始まる、とても哀しい映画を観ました。
場所はナチの支配下のポーランド。
ヒトラーの暗躍するとてつもない時代に、活躍していたユダヤ人ピアニストの実話を主題にした物語。
<戦争が始まって一番初めに取り去られるのが音楽で、戦争が終わって一番初めに求められるのも音楽>
と、どなただったか有名な日本の指揮者の方が語っていた言葉が忘れられません。
この映画は、まさにその言葉がぴったりの映画でした。
人が人に優劣を付けて、強い者が弱い者を虐げていく戦争。
大衆に飲み込まれると、悪いことも否と拒めない人間の弱さ。
どこまでも悪と化していくことのできる罪を宿した性質の人間と、自分を犠牲にしてまで正しいことを守り抜くことの出来る善を宿した魂の持ち主。
何故人間はこんなにも両極端に分かれてしまうのでしょうか・・・
私は戦争の話に触れる度に、その時代や国に生まれなかったことを心から幸せに思います。
そして、いつも考えるのは、窮地に陥った時に自分は正しいことを選択できるのかどうかということ。
この映画はユダヤ人に向けられた理不尽窮まりない出来事の中で、人間の生というもの、そして罪と愛、音楽の存在を問いかけたとても奥深いものです。
映画を観ながら、この時代に、ユダヤ人に生まれなかったことを、申し分けなく思いつつも安堵してしまいます。
それにそんな中で、いつもひとつの問いかけが私の心に沸き上がります。
果たして、もしこの時に親しいユダヤ人の友人がいたのなら、自分は自分や家族を犠牲にしてまでも守ってあげられるのだろうか・・・ということ。
多分出来ないだろうと思う自分への愛と意気地のなさを感じながら、*現実にそのことをして自ら監獄で暮らし、それを受け入れながら戦った素晴らしい方々の有りようを思い、いつも深く深く感動します。
だから、ただ、私の目の前にこの哀しいことが起こっていないことを感謝するばかりです。
そして、今後もそんな場面に絶対に遭遇しないようにと祈る日々です。
でも、万が一にそのような選択を強いられたのなら、必要な勇気は必ず神様が与えて下さり、愛を選択出来るような信仰を持てると自分を信じたいものです・・・
さて、話を映画に戻します。
そんな戦火のポーランドで、持ち物も没収され、家も焼かれ、食べるものさえ何もなく、ただ生きるためだけに危険窮まりない中を逃げまどっていたユダヤ人ピアニスト。
そして、そんな彼を匿う為に身の危険を冒しても援助してくれた、彼のピアノ演奏を愛していたポーランドの知人たち。それを利用して裏切る人・・・
驚嘆したことは、そんな戦火の中でもポーランド人の家の設えは素晴らしく、戦争の最中であることを微塵も感じさせなかったこと。
何と、美しい生花まで飾られていたのですから!
そして、その花が黄色い薔薇だったことも、私にはとても印象的でした。
黄色い薔薇の花言葉は<裏切り>。
ポランスキー監督は、その花言葉の故にその色の薔薇を選んで、そっとナチスを批判したのかどうかは知るすべもありませんが、偶然には思えず、とてもとても哀しく映った美しい薔薇でした。
そして、ショパンのノクターンもただ美しいだけでなく、哀しく哀しく響きます。
音楽、神様が人間に与えし妙なる美しい喜びと安らぎ・・・
ユダヤ人、神様が人類救済のために選ばれし栄光と流浪を余儀なくされた苦難の民・・・
これらの物語に触れると、聖書の奥義を深く深く思わされます。
クリスマスカードのご紹介
<ムーンライトローズ>
2009.12.14 小出 麻由美
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