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2006.09.26
曼珠沙華
鮮やかな朱赤の花なんて全く興味が無いはずなのに、何故この花に惹かれるのでしょうか。曼珠沙華。
一般的には彼岸の頃に咲くので彼岸花と呼ばれていますが、私はこの呼び名の方が好きでこちらの名前を使っています。幼い頃、祖母がこう呼んでいてお饅頭みたいな変な名前だなと思ったものですが。
この花は、墓のまわりによく咲いているせいか、そして血の色のせいか、私が幼い頃から誰彼と無く採るのを禁じられるように言われた花でした。
娘達が保育園に通っている頃、散歩に出かけた子供達に曼珠沙華を採ると家が火事になるので採ってはだめだと先生が注意したことがわかり、私は断固先生に抗議したものです・だって、そんな迷信で花を恐れる子供達になり、せっかくの美しい花のイメージを悪くしてしまったらそんな残念なことありませんもの。
私も子供の頃、そんな風に悪いことばかり聞かされて育ったので、長い間この花の美しさを素直に愛でられなくなってしまっていましたから。
曼珠沙華の花に対しても申し訳ありませんものね。
忌み嫌われる他の理由として鱗茎に毒があることも起因しているようですが、その成分のアルカイドのリコリンを利用して、漢方では去痰剤や吐瀉剤に使われて功も奏しているようです。
さて、この花の魅力は鮮やかな色で群がって咲くのに寂しく感じること。
秋の虫の音に囲まれているせいなのでしょうか。
また、私はこの花が、黄金色に実った田んぼの畦道に咲いている所を見るたびに、よくこんなに似合う場所を選んで咲くものだといつも感心してしまいます。
この風景は代表的な日本の美しさのひとつだと思います。
そして、私にとって神様のデザイナーとしての素晴らしさを再認識する風景のひとつでもあるのです。
最後に大好きなこの花を歌った北原白秋の詩をご紹介しましょう。
曼珠沙華<ひがんばな>
ゴンシャンゴンシャン どこへゆく
赤いお墓の曼珠沙華 曼珠沙華
きょうも手折りに来たわいな
ゴンシャンゴンシャン 何本か
地には七本 血のように 血のように
ちょうど あの児の年の数
ゴンシャンゴンシャン 気をつけな
ひとつ摘んでも 日は真昼
ひとつあとからまたひらく
ゴンシャンゴンシャン なし泣くろ
いつまで取っても 曼珠沙華 曼珠沙華
恐や赤しや まだ 七つ
* ゴンシャンとは福岡柳川地方の方言で良家の娘という意味です
この詩に山田耕筰がたんたんとした哀切な曲をつけ、不思議な曼珠沙華の雰囲気を良く顕した歌曲に仕上げています。一度聴いたら耳に残る歌です。
2006.9.26 小出 麻由美
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