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2007.09.14
父の愛したエビネ蘭
私の父はとても凝り性で、一つの花で色々な種類を集めることが趣味でした。
私の記憶にあるのは、ツツジ、シャクナゲ、ツバキ、バラ、そしてエビネ
中でもエビネのコレクションはかなりの数で、広い庭がエビネの花で埋め尽くされた頃もありました。
仕事が休日の度にあちこちの山野に花好き仲間と連れだって、数々のエビネの苗を入手してきて、あっという間にエビネの庭を造り上げていました。
私が十代の頃でしたが、呆れる母を横目にそんな父が大好きでした。
今では山野からエビネを持ち帰るのは禁止のようですが、当時は自由だったようです。
一体、あんな沢山の苗を何処から探して来ていたのか・・・
山で木漏れ日を浴びて咲くエビネのために、父は庭の日除対策として竹を用いて丹念にほどよい木漏れ日具合に仕上げていました。
その愛情がエビネに通じたのか、春になると一斉に花が咲き群れ夢のような庭でした。
「こんな庭が毎日見られて、幸せだろう!?」と、父は花が咲いている間中大層喜んでその庭にご満悦でした。
その頃も、私は心からそう思って庭を眺めていましたが、今思えば、夢のような日々を過ごせたのだなあと、改めて感謝に溢れます。
エビネの花期は長いので、色んな方々がその噂を聞いて、見に来て下さったものです。
今で言うオープンガーデンですね。
私も出掛ける度に、珍しいエビネの苗が売っていないものかと父を喜ばせたくて探した記憶があります。
確か、匂いのある珍しい種類を父にプレゼントして喜んで貰ったこともありました。
父はエビネの本を買って、その種類を全て花ラベルに書き込んでは苗に挿して、名前を記憶していました。
・・・いつの間にかそんなエビネたちも庭から影を潜めてしまったようです。
けれども、あの美しいエビネ蘭の園は私の記憶の庭に永遠に今も美しく咲き誇ってくれています。「お父さん、ありがとう!」
2007.6.29 小出 麻由美
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