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2016.04.04

秘密の花園

この季節、私の小さな庭はまるで<秘密の花園>です!
それがとても嬉しくもあり、惜しくもある、ちょっと特別な気持ちの特別な時なのです。

我が家の庭の前は、時折車も人も通るアスファルトの道なのですが、少し高い位置にあるので、決して人目に付きません。

椿が開き、クリスマスローズが見事に咲きそろい、ヒヤシンス、黄水仙、アリッサム、勿忘草、ネメシア、桜草、アネモネ、翁草、プルモナリア、菫、エリシマム、梅、バーベナ、桃、アレナレア、イベリア・・・等々
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花の蜜を吸いに、野鳥たちも沢山訪れます。
中でもメジロたちは私の大のお気に入りのお客様で、彼らには花蜜だけでなく好物の蜜柑を半分に切って並べ、鳥籠の中で振る舞います。
鳥籠の格子は丁度メジロが出入り出来るサイズで、それでいてヒヨドリは入って来れず、半分の蜜柑を持ち逃げされる心配がなく、安心してメジロをご招待出来ますからね。

この花園のことを考えると、朝喜びで目覚めます。
庭が見渡せる窓辺に小さな硝子のテーブルを置いて、ゆったりと腰掛けられる椅子を配置して、私の特等席が出来上がり!

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お茶の時間意外でも、一日何度もそこに座り、私だけの特別な時間を過ごします。

小さいけれども、この花園は私の特別に好きな花しか咲かない場所。
まだ薔薇も木々の新緑もないけれど、本当に夢のように美しい!

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残念ながら、この時季はあまり長くは続かないから、それがかえってとても愛おしいもの・・・

日々変化のない退屈な毎日でも、庭を眺めていたら幸せに感じます。
季節の移ろいは、儚いがゆえにとてももどかしく美しい・・・
そう、こんな小さな場所も手入れをすると、必ず応えて下さる神様の采配を感じる場所になり得ることを、心から感謝に感じています。
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そして、大好きな立原道造の短い手紙の一節がいつも浮かんできます。
彼が思い人、三戸部アサイに宛てた詩のように美しい手紙は、
~この叢はどの叢にもまして僕には美しい・・・と始まります。
私は(叢)の部分を(花園)に、(僕)を(私)に置き換えて心の中で何度も謳うのです。
~この花園はどの花園にもまして私には美しい!!!

この一通の便りだけで、立原道造がどんな素晴らしい詩人なのかと納得する私です!
こんな手紙を恋人から頂けるなんて、なんとも羨ましい限りです!!!
この一通の手紙だけで、間違いなく恋に落ちてしまいそうです!(笑)
*この叢は どの叢にもまして僕には美しい
だが 蟻がたくさんいる
だまっていると足をどんどんのぼってくる
僕はそんなことを我慢して
ここをおまへに手紙を書く 僕の緑の机にしよう・・・
今 村の方でおひるの鐘が鳴っている
かへらなくてはいけないだらう
ここにいても
僕の時間は小鳥のやうに自由ではない   <八月一七日 第二信より>
注*油屋の裏手、雑木林を抜けていくと、そこに小さな草原が広がる。
道造は、よくここに来て寝そべりながら、アサイへの手紙を書いた。

2016.3.22    小出 麻由美

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