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2006.07.25

色褪せることなき一輪の露草に

7月露草



<1994年7月「いのちのことば」表紙によせてに掲載された文章>

人はみな草のごとく、
その栄華はみな
草の花に似ている。
草は枯れ、
花は散る。
しかし、主の言葉は、
とこしえに残る。
 ペテロの手紙
 第十一章二四節、協会訳

 詩人と結婚した私の伯母は、露草のごとく儚くその生涯を終えました。夫である伯父の名は平田露草。画家の竹久夢二と交友も深く、アメリカで記者として活躍もしたそうですが、その野の花のごとく、詩人として知られることもなく生涯を閉じました。

 私は伯母を写真でしか知らないのですが、姿、雰囲気がとてもよく似ていたらしく、幼いころより幾度となく君子という伯母の名を耳にしていました。その伯母が二人の幼い子供を残して入水自殺を計っていたことを知ったのはずっと後のことです。伯母にだれかがイエス様のことを伝えてくれていたのなら・・・・・・。今でもそれが悔やまれます。

 私自身も少女のころ、人生に疑問を抱き、生きることに躓いて、よく死について考えていたので、伯母のことがとても偲ばれるのです。 幸い私は十七歳のときイエス様に出逢い、生きる意味と喜びを見いだし、孤独を忘れ、さまざまな辛い試練も乗り越えることができました。

 自殺、これほど哀しい響きをもった死はないように思います。聖書はこれを強く戒めています。残念ながら、私の周囲でも幾人かの方が自ら命を絶って逝きました。イエス様のことを伝えられなかったことが、哀しみとなって私の心の奥底に残ります。

 露草。朝にはその鮮やかな美しい青い色も、陽高く昇るころには、すでに姿なき儚き花。

 人生とはそのようなものかもしれません。が、イエス様を迎え容れた心には、いつまでもその鮮やかな花の色をとどめることができるのです。

 昔から青い花がとても好きでした。紫を帯びない空のように青い色の花は、本当に僅かだからでしょうか。

 「好きな花は?」 「露草。」 私の問いにすぐに答えてくれた詩人の友人、小豆沢ゆう子さん。彼女も苦しみの中を通ってイエス様に出逢い、今では色褪せることのない一輪の露草となって幸せに咲いています。


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