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2006.09.22

花を美しく撮る人

我が家に一年に一度必ず来られる私のピアノの調律師、塩谷一彦さん。
彼とのおつきあいは、かれこれ25年くらいになるでしょうか。
初めてお会いした時と変わらない青年のような爽やかさ。
明るく誠実で、辛い最中もいつも前向きな方。
彼とは、すぐに気が合ってよく色々なお話をしたものです。
その職業柄、さすがに音楽に対する造詣が深く、オーケストラの指揮者が誰なのかすぐ解るだけでなく、その指揮者の何年の演奏かまで言い当てていたというから驚きです。
本当は指揮者になるのが夢だったとか。


それに彼も大のアンティーク好き。素敵な彫り物のある旧いオルガンやピアノを探してきては調律して復刻させることに喜びを見出していらっしゃるようです。
以前、私も賛美歌が弾ける小さな旧い花の彫刻のある足踏みオルガンを彼に探して貰い、格安でお譲りいただきました。今もちゃんといい音色です。


さて、そんな彼のもう一つの顔はカメラマン!
過去には有名な雑誌などにも掲載されていたし、賞も受賞されています。
私は調律師としての彼の腕前を聞き分けるほどの音楽の才能がなくて申し訳ないのですが、カメラマンとしての彼の才能をとても高く評価しています。
最も私なんかにどう高く評価されようともなんの得もございませんけれどね。
とにかく何を撮ってもセンス抜群なのです。
私がつまらなく思っていたものでも、見事に絵のようにモチーフやバックに代えてしまう才能には敬服いたします。


実は、少し私が若かりし頃の彼に撮っていただいた写真を友人達が見て、「麻由美さんがこんなに素敵に撮ってもらえるなら、是非、撮って欲しい!」と声が上がり、我が家で女優顔負けの撮影会を催すことになりました。
優しい塩谷さんは喜んで皆の願いを聞き入れて下さいました。
私を含め6人集まり、ワイワイガヤガヤとそれはそれは楽しい賑やかな撮影会となりました。


私にひとつの夢がありました。
シェークスピアのオフェーリアのような雰囲気の写真を残すこと。
それで、髪に庭の花を散らして白いドレスを着て<実は綿のネグリジェ。決して透けてはおりません。>アンティークランプの仄かな光の中でふんわりと・・・


皆の笑いを一心に浴びながらも、撮れました!撮れました!
本当に楽しい一日でした。
それぞれの女優たちをどのように配置するのか、そこは塩谷さんのセンスの見せ所で皆が感嘆の声を挙げるので、きっと塩谷さんも悪い気はしなかったでしょう。
もしかして、実は、美女たちの集まりの中にいられて嬉しかったかも!?<笑>


そんな訳で今日の花は私たち女性になってしまいました。が、塩谷さんの撮る花は、私たちも負けてしまいそうなくらい美しく素敵です!悔しいけれど。


             2006.9.21    小出 麻由美


photo*塩谷一彦

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