人々が夢見て止まない憧れの青い薔薇。

残念ながら薔薇の色素には青色がないらしく、現在青薔薇と呼ばれる色合いは青味を帯びた紫系の薔薇です。以前はブルームーンと呼ばれる薔薇が一番青薔薇に近いものでしたけれど、昨今には研究が進み、より青薔薇に近付いた品種も生み出されているようです。中でも河本純子さん傑出の天使シリーズ、＜ルシファー＞はかなり青ざめたシルヴァーグレーブルーとでも表現いたしましょうか・・・本当に地上のものとは思えぬほどのノーブルな出で立ちです。

数年前初めてこの薔薇を目にした時、驚きすら感じたものです。栽培は難しいとの事でしたが、一年でも咲かせられれば幸せな気がし、小さく高価ながら発売されたばかりのルシファーを持ち帰ったのでした。 育てているうちに雨に弱いことが分かり、軒下の雨の掛らぬ陽当たりの良い所に置いて慈しみながら育てておりました。花は小さいながらも年に幾つか咲かせてくれており嬉しく思っていました。予備に挿し芽をしていたら見事に成功して、数年後にはこちらの苗の方が元気に育ってくれていました。園芸店の方に「ルシファーをそんなに花咲かせられるなんて薔薇育成家として上級者ですよ。」なんて言われたことが励みとなり、ますます薔薇に愛情を注げるようになった私です。それで、今年の春、挿し芽のルシファーに驚くほどの蕾が付いて私を感激させてくれました。

こんな美しい自分で一から育てたルシファーを描かないわけには参りません！描いている間も夢見るような幸せな気分でした。
ルシファーとは天使と言っても堕天使の代表です。聖書によると、ルシファーとはとても美しい天使だったのですが、それが仇となり高慢の罪から神様に地に落とされてしまい悪魔と化してしまったのだそうです。何れにせよ、高慢とは恐ろしい罪です。でも、薔薇にしてみれば迷惑なことかもしれませんね・・・それはさておき、ルシファーはとにかく香りもよく長持ちで、私にとっては愛すべき青薔薇なのです。

２０１４．５．１５　　　　　小出　麻由美