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2007.03.15

薔薇・ブラックティー

初めてこの薔薇を目にしたのは、20年前。
神戸の異人館の町のとある素敵なティールームにて。
確か、お花屋さんも兼ねていた当時としては珍しいしゃれたお店で、さすが神戸だなあと感心しながら、売り物の薔薇を見つめながらお茶をいただいた記憶があります。
薔薇たちは冷蔵庫に入っているわけでもなく、お客様が座る椅子のすぐ傍に束ねられていて、手で触れることすらできました。
当時、綺麗な色しかなかった時代に、紅茶色のジュリアとこのブラックティーの出現は衝撃的でした。
私は、そのネーミイングにぴったりの深い色合いをした初めてお目に掛かるその薔薇に感動して、その時の神戸での主人とのデートはそのことしか憶えていないのです。
多分、主人はその薔薇すら憶えていないのでしょうけれど・・・

薔薇・ブラックティー

さて、このブラックティーはくすんだ濃いローズ系の色に渋い濃い色の紅茶を注いでいって創ったような花びらの色で、なんとも魅力的です。
当然のこと、何度も庭で育てている薔薇です。
比較的栽りやすい品種で、春と秋の二季咲きです。
が、数年経つと春のものは朱色に近い鮮やかな色合いになり、期待がはずれてしまうこともしばしば・・・
多分交配したもとの花色が現れるのでしょう。

薔薇・ブラックティー2


この薔薇を題材にした短編小説、山本文緒著・ブラックティーをその題名に惹かれて読んだことがありますが、なかなか着目点が面白いと思いました。
山手線に乗って人の忘れ物の中から現金のみを抜き取って生活している女性のことを描いた作品。
そんな主人公の彼女も、ある女性が故意に忘れて行った大きなブラックティーの美しく高価な薔薇の花束に自分の過去を重ね、持ち帰ろうとします。
それを抱いて歩いていたら、それをとある女性に先ほどプレゼントしたはずだと思っていた青年に出会うというもの。
やはりこんなお話は、この薔薇の種類だから成り立つストーリーでしょう。
普通の色合いの薔薇だと、同じような花束を持っていただけ、で終わってしまいそうですものね。


とにかく、そんな魅惑的な色合いの薔薇なんです。この薔薇は!
2007,2,23    小出 麻由美

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