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2006.09.25
金木犀の香り
風が金木犀の甘い香りを運んでくる一番好きな季節になりました。
この季節が最も好きだと思っていらっしゃる方、結構多いのではないでしょうか?
空が高くなってその青い色が一層澄んだ青になり、蝉の声が秋の虫の音に替わり、曼珠沙華咲いて、コスモスがそよ風に揺れる優しい季節。
自然と詩の本にも手が伸びます。
私が好きな詩人は、立原道造、高村光太郎、ヘッセ、リルケ、ゲーテ・・・ヴェルレーヌ、秋の日のヴィオロンの溜息の身にしみて・・・
金木犀の香りは人をロマンティックにしてくれる魔法の薬のよう。
この花は、秋を知らせてくれる香り。そして、郷愁も・・・
金色の小粒の花の中のどこにそんな力があるのか不思議です。
花の香りに勝る香りはありませんね。
考えてみたら、花はその姿だけでも人を慰め潤してくれるのに、香りまであるものがあるなんて、神様のお取り計らいは本当に素晴らしいとお思いになりませんか?
しかも、花の種類によって色々な異なる香りがあるのです!
私はそれぞれの花の香りの違いが克明に分かるのですが、言葉でその違いを説明することが残念ながら出来ません。多分本物の香りだけ嗅いで花の名前を当てるゲームがあるとしたら、かなり自信ありますが。
人間って匂いの記憶が強く残せると本で読んだことがあり、そのとおりだなあと納得していたら、主人は匂いの記憶は人間には薄いから、私が特殊だというのですけれど果たしてどちらが正しいのでしょうか?
私自身は花の香りに限らず、匂いというものからそれに纏わる色々な記憶がはっきりと呼び覚ませるのですけれど。
普段は匂いを嗅げることがあまりにも自然で感謝に感じなくても、風邪などひいて鼻がつまってしまうと、食べ物の味も分からなくなって本当に味気ない生活になってしまいますから、とっても大切なことなのですよね。
もし、この花にこの香りがなかったらそんなに惹かれる花ではなかった。
誰にでも、そんな花がいくつかあるのではないでしょうか?
私も、鈴蘭、沈丁花,梔子、そして金木犀にそれらの香りがなかったら、それほど好きな花ではなかったような気がします。
昨今、アロマテラピーと言われる香りで心身を癒すことがもてはやされています。
私が思うに、庭に花が沢山ある生活をしていたとしたら、多分特別にそんな必要を感じない気がするのですが、都会での自然の香りの無い世界では身体が花の香りを自然と要求するのではないでしょうか?
きっと、神様の創られるものは全て人間に不可欠なものなのでしょう。
金木犀は、小さな木でも一本あれば風が遠くまでその香りを運んでくれます。
都会でもどこかしらふんわりと香ってくる香りです。
この季節、皆がこの香りの中で少しでも優しい気持ちになってくれたらと願う私です。
2006.9.23 小出 麻由美
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