この春私が庭で一番感激した薔薇は、新入り＜フォーチュンズダブルイエロー＞と言う名前の薔薇。

この薔薇は実物を見たことも名前すら聞いたこともなかった種類だけど、杏色の綺麗なラヴェルに魅かれて昨年冬にホームセンターで見つけた安価な小さな苗だったもの。

私は時折、知らない素敵な薔薇に会いたくて、こんな買い物を楽しみにしたりしています。
過去に名前も記されてない薔薇を育てて、大感動する花を咲かせたこともありましたので。

このフォーチュンズダブルイエローは、中国原産の花びらが儚げでふんわり優しく開く微妙な色合いの杏色。
イングリシュローズが大好きな私ですが、魅かれる薔薇の中には気付けば結構チャイナローズも多いようです。
我が家のメインローズの木香薔薇も、中国原産の原種薔薇だということですし。

さて、置き場所を迷った挙句玄関の門柱に添わせた小さな蔓薔薇フォーチュンズダブルイエローは、春が近づく毎にそのしなやかな棘がいっぱいの細い枝がぐんぐん伸びて、主人の小言を買うほどに成長していきました。
でも、絶対剪定などさせなくて針金で誘導してその花を楽しみに待っていた私です。
思った以上に虫に愛される花で、虫退治に専念しながら蕾を大事に育てました。
が、その溜息が出るほどの美しい出で立ちに苦労は一気に吹き飛びました。
花びらが光に透けるような杏色で、まるでガラス細工のようにキラキラ輝く薔薇なのです！！！

後悔したのは植えた場所で、玄関の入口だから出入りする時にしか眺められなかったこと。
この薔薇の絵を描きたいと思いましたが、陽射しが強く背よりも高い位置の花だったし、伐ることは惜しまれて出来ず、ただ何度も玄関に行って見に行くことだけでした。
でも、＜フォーチュンズダブルイエローが玄関に咲いている！＞
そう思うだけで幸せな幸せな気分に包まれたものでした。

ただ、玄関に植えてよかったと思ったことは通りすがりの方々が喜んで下さったこと。
わざわざ遠回りして我が家の前を選んで歩いて下さる方もいらっしゃったようで、そんなことを窺うとこの場所でよかったと思えた私です。
ご近所に住む友人が、「こんな綺麗な薔薇を見て大感激したわ！だんだん年を重ねると色んなことが億劫になってしまい、気力が無くなっていたけれど、麻由美さんの薔薇に対する情熱の意味もわかり、私も薔薇を育てたくなったわ！とてもよき刺激を有り難う！」と本当に大感動して頂き、早速彼女も似た薔薇を探しに園芸店に走ったとのことでした。
だから、玄関に植えた後悔は取り消します。

来年はもっともっと大きくして沢山の花を付けて貰おうと思っています。
そして、挿し芽を作って来年は絵に描くためアトリエの傍でも咲かせてみようと思っています。
＜庭は神と人との合作である＞と友人から聞いたけれど、本当にそうだと思います。
花の手入れをすることは、祈りにも似て神様との対話の手段に感じています。

素敵な薔薇に会いたくて・・・私は神様と対話しながら地道な作業を続けようと思っています。

２０１４．６．１２　　　　小出　麻由美