ブログ

Blog

2011.04.10

ヴィオレッタの椿

地植えにして昨年沢山の花を付けた美しい椿、ムーンライトベイ。
今年も期待していたのですが、何故だかたった一輪しか花を付けませんでした。
しかも、地面すれすれの一番下で俯いて開く始末!


ムーンライトベイ1

いくら俯いて咲く花が大好きな私でも、ここまで俯かれたら後ろ姿しか見つめられませんから、貴重な一輪を切って部屋に飾ることにしました。


しかし、その花の大きさ美しさと言ったら今までで最高で、まるで芍薬と見紛うような艶やかさです!(私の携帯と見比べて下さい!)


ムーンライトベイ3

これだとパリの社交界の華、ヴィオレッタに持たせても見劣りしませんよ!(笑)
既に私のブログをずっとご覧下さっている方にはおわかりでしょうが、初めて読んで下さった方のために少し補足を。


ヴィオレッタとは、私が一番好きなヴェルディのオペラ<椿姫>の主人公の名前です。
フランスの作家デュマ・フェス著の実在のモデルを基にして著された小説<椿姫>が原作。
当時社交界の華で、いつも椿の花束を手にして夜毎劇場の桟敷に姿を現していたことから(原作では、彼女は月のうち白い椿を25日間紅い椿を5日間携えていましたが、オペラではそこまでの表現はされていません)人々に椿姫と呼ばれていたヴィオレッタは、19世紀のパリで高級娼婦として退廃的に生きていました。
でもそんな彼女もついには純粋なアルフレードという青年の真実の愛を得て、改心して幸せに二人で暮らそうとするのですが、彼の父親に大反対され、自分の生い立ちが理由で犠牲的に身を引きます。
そしてアルフレードを思いながら、胸の患いでひとり寂しく床に臥します。
二人の真実の愛にやっと理解を示してくれた父親から許しを得て、アルフレードがヴィオレッタを訪ねた時には、既に遅く彼女の病は瀕死の状態でした。
最後に愛する人の腕の中で息絶え、美しく儚い悲恋物語として終わります。


オペラの舞台では、ヴィオレッタがアルフレードに逢瀬の約束を交わす印として椿の花が大事な小道具として使われるのですが、今まで数ある映像の中で素敵な椿の花を手にしたヴィオレッタを目にしたことがなく、ひとり不満に思っていたのです。
それで、舞台演出を依頼されているわけでもない私が(笑)、探していたのがヴィオレッタに持たせたい椿というわけです。
この椿ムーンライトベイは、数年前にラベルの写真のみを頼りに購入して育てた小さな小さな苗でした。


しかし、写真より遥かに立派な本当にそのネーミング通り月の光の中で開いたような淡いとてもとても美しいピンクです!!!
いろいろ悩んで、深い紫のガラスの器に浮かべました。


ムーンライトベイ4

しばし、優雅な社交界の華・ヴィオレッタの幸せな日々を思い描きながら、彼女の人生のように儚く麗しい椿を眺められるひと時を幸せに感じています。


2011.4.7       小出 麻由美


 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。