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2017.03.24
メトロポリタンオペラ映画・ルサルカ
本格的なオペラ鑑賞は、日本ではなかなか気軽に出来ませんので、私は目下最高の舞台をDVDや映画館で楽しむことにしています。
ここ数年来映画館で上映されているメトロポリタンオペラは臨場感もあり、出演者やマエストロのインタビューなどもあるので、とても素晴らしくて気に入っています。
ルサルカのメトロポリタンオペラ映画鑑賞は昨年に続き二度目です。
ルサルカとは主人公の名前で水の精です。
所謂、アンデルセンの人魚姫の物語と同じロマンティックなおとぎ話で、美しく哀しい恋の物語です。
作曲家はチェコ出身の<ドボルザーク>で、上演語もチェコ語です。
今回は新演出で、ルサルカ役はソプラノ歌手<クリスティーヌ・オポライス>です。
私は今回初めて知った歌姫ですが、まるでルサルカのイメージそのものの美女で、衣装が睡蓮の花をあちこちに鏤めたかなりゴージャスで素晴らしいものだったので、聴くというより観賞目的で、映画を観に行きました。
と、いうのもルサルカのオペラ音楽は、私にとってアリア・月に寄せる歌 その一曲しか興味がないからなのです。
でもその一曲の為にでもこのオペラを観たくなるくらいの、本当にロマンティックで魅力的な歌曲です。
それが証拠に多くのソプラノ歌手がこの歌をアルバムに収録しています。
私の大好きな<サラ・ブライトマン>も ラ・ルーナ という月を題材にしたアルバムにこの歌を挿入しています。
彼女の歌う、オペラではないクロスオーバーの 月に寄せる歌 もかなり私のお気に入りです。
さて、このオペラ ルサルカ、実はあまり上演されていません。
水の世界が絡んだ物語なので、かなり演出が困難なのではないかと私は思うのですが・・・それに、前述したように、印象に残る音楽が少ないということも理由に感じています。
でも、今回のこのルサルカは大変素晴らしい感動的な舞台で、私の好きなオペラ舞台の中でも際立って残る一作になりました。
改めてCDを購入することにして、よりこのルサルカの魅力を堪能できるようになりたいと思っています。
インタビューでも、どなただったかこのルサルカが今までで一番素晴らしい舞台だとおしゃっておられました。
そう、昨年鑑賞したルサルカも綺麗だったのですが印象が薄く、まるで記憶に残っていないのです・・・
今回森の精たちの衣装も野に咲く花で一杯飾られたバレエのチュチュスタイルで、とても印象に残る素敵な仕上がりでした。
その森の精たちの中の主役は、黒髪の美しいアジア人で歌声も大変素晴らしく、しばし見入っておりましたが、残念ながらどこの国のどなたかは分らぬままです。
同じアジア人として、こんな舞台で活躍されているとは嬉しい限りです。
舞台背景も月の昇る薄暗い湖畔の森の中が主な設定なので、転換シーンを一面の黄色い花畑に変化させる特別シーンも加えられてあり、演出が本当に圧巻でした。
演出家は有能な<メアリー・ジマーマン>という方でしたが、それが女性ならではの繊細な感性で、拍手喝采脱帽でした!!!
勿論、主役の<クリスティーヌ・オポライス>は容姿だけでなく歌声も演技も素晴らしく、もう少し年齢を重ね高音が難しくなったら、直ぐに女優に転身できる方だと不謹慎なことまで思ってしまいました。(若き頃のカトリーヌ・ドヌーブ似の美女です!)
王子役もルサルカの父親役も魔女役も王女役も皆さん本当に圧巻で、指揮も演奏も素晴らしい記録に残る舞台で大成功でした。
こんな歴史に残る舞台に関われた方々は、(裏方の舞台芸術家や照明担当の方たちなども含め)本当に誇りに感じることでしょう!何だか羨ましい限りです!
でも、例え関われなくても、こんな作品を鑑賞できる時代に生まれ観客になれたこと自体、本当に幸せに感じます!
だけど・・・正直、この舞台を生でご覧になられたメトロポリタンの会場で拍手喝采を直接贈られた方々には、少し嫉妬してしまいますね!(苦笑)
私も一度でよいから、こんな素晴らしい夢のような舞台を生で観てみたいものです。
2017.3.24 小出 麻由美