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2017.08.21

裸婦画

絵のモチーフで一番難しく美しいと思うのは、裸婦です。
学生時代から数多くの裸婦のクロッキー画や油絵を製作し学んできました。
この世に二人として同じ形の方は存在しない神様の創られた姿。
肌の色も、同じ日本人であっても微妙に異なるその色合いは、とても興味深いものです。

私は油画を私の最も尊敬する師・川辺浩画伯に学べたことは、本当に光栄に感じ感謝しています。

日本人の肌色を作る時に、決してほんの少しでも茶系統の絵の具を混ぜると透明感が失せてしまうことや、黒髪には絶対に黒色を使ってはいけないこと、影の中に微妙な数多くの暖色と寒色があること等々・・・
今まで聞いたことのない数々の教えを乞うことが出来、本当に大きな学びでした。
突然に逝去されてしまいとても残念でなりませんが、教えて頂いたことを忠実に守って、これからも機会があれば、裸婦を描き続けたいと思っている私です。

師がご健在の時に裸婦専属モデルを描いたお気に入りの油彩の裸婦画が数枚ありますが、普通の光と逆光で描いたものの色合いがかなり異なるのが面白いものです。

この度不思議なご縁があり、一般主婦の方が是非とも裸婦を絵に残したいということで、初めて裸婦画の注文を頂きました。
久々の裸婦画にときめきを感じながら筆を握りました。
先ずは木炭デッサンから。
そして、彼女の意向を聞きながら、私のイメージを創り、作品に仕上げました。
50代の方でしたが、もともと美しい肢体の線は全く崩れておらず、お肌は輝くように白く美しく、兎に角そちらに驚いた私です。
勿論DNAからの素晴らしさはありますが、それを50代になっても維持されておられることには、全く敬服致しました。

肖像画の注文は、先ずはその方に似ていないと意味がないので、一番顔の表情を描くことには力を注ぎました。
美しい彼女ですから、前面も背面も描きたいと思いましたので、鏡を用いることにしました。
鏡に写った彼女の姿の背景には、夏の光り輝く緑の木々の葉が映り、自分でも納得のいく作品に仕上がりました。

彼女も大変喜んで下さり、胸を撫で下ろしたところです。
私がどんなに上手く描けたと思っていても、ご本人が不服でしたら、全く嬉しくありませんものね。

いつか、アダムとイヴの聖書物語の一説を絵にしてみたいと思っていますが、今回はその機会になる大きなインスピレーションを与えて頂き、彼女にとても感謝しています。

2017.8.21     小出 麻由美

「裸婦画」への2件のフィードバック

  1. Sachiko より:

    ***
    均整のとれた人間の肉体は本当に美しいと思うのですが、それが女性だったら尚のこと。
    私の祖父がまだ若かりし20歳の時(1932年、昭和7年)に付けていた日記を幸運にも私は手元に持っていて、祖父にはわるいのですが、それを読ませてもらっています。

    「Renoirの水浴の女は美しい。世界中に一体これ以上美しいものが存在するだろうか。ー途中省略ー Renoir-中風病みのRenoirこそが真に健康の有難さを知ったのだ。だからこそRenoirのみが真に健康な美しい女の身体を描くことが出来るのだ。」

    この件は日記帳の2ページ目に前書きのようにして書かれてありました。まあなんて美しい表現かしら!審美眼をもった孝二さん(祖父)に一目惚れ(笑)でしたわ!

  2. 小出麻由美 より:

    Sachiko様

    初めてのコメントありがとうございます!!!
    嬉しく感慨深く読ませて頂きました。
    それにしても、素敵なおじい様ですね!
    そして、そんなおじい様の日記帳が貴女の手元にあるなんて、またまた素敵な運命の巡り合わせですこと!
    ルノアールの透き通ったフランス人の白い肌の描き方は、また色合いが全く日本人と異なるので、私も描いてみてみたいものです。

    以前あまり有名ではないルノアールの小さな作品を美術館にて目にし、釘付けになったことが思い出されます。透き通るような白い肌に金髪の髪が軽やかにカールして、まるで触れられる雰囲気でした。
    私は女性ですが、それでもその美しさにこんなに感動するのですから、男性でしたらおじい様のような思慕を抱かれる方が殆どなのでしょうね!

    でも、今回のモデルさんもフランス人にはない美しいアジアンビューティーで、最後まで楽しく筆を持てて、とても幸せでした。

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