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2009.09.06

映画 <ライアンの娘>

素敵な映画は数あるけれど、中でも20代前後の頃に観た<ライアンの娘>が印象に残っており、是非もう一度観てみたいと思っておりました。
が、あまりメジャーな映画ではないので、なかなかそんな機会を見つけられないまま数十年が過ぎてしまっていました。
でもやっと、新聞の広告にその映画がDVD化されたのを見つけ、すぐに注文をして念願の映画鑑賞を果たせたのです。

物語の内容は殆ど覚えていなかったのですが、とにかく映像の美しさが脳裏に焼き付いて離れなかった映画でした。
特に、ライアンの娘ローズが夕闇の中に、夫のある身でありながら愛する人が丘に立つ姿を見つけ、白百合の咲き乱れる中へ呆然と立ち尽くし、スカートに百合の花粉を一杯付けるという、幻想的なシーンが大好きでした。

ライアン1

その映画の物語の内容把握は勿論のこと、題名通りライアンたる人物の美しい娘ローズが主役だったのですが、何故わざわざ「ライアンの」と付くのか意味不明のままだったので、そのことも解明したいと思っておりました。

再度の観賞後、数々の美しい映像の溜息の出るような風景に感動したのは勿論のこと、あまりにも深い内容だったので、改めて大好きな映画のひとつになりました。
時は1940年代。場所はイギリスからの独立運動を企ているアイルランドの小さな田舎町の海辺。
その小さな町で生まれ育ったローズという美しい娘の平凡な結婚生活を通して見つめる人間の原罪。
反戦問題と人間の犯し得る罪深さをえぐり出し突きつけてくる、深く深く思考させられるストーリーでした。
「私は絶対そんな裏切り行為はしない。」人間誰しも客観的にはそう思うと思うのですが、置かれた立場ではあり得ることかもしれないと思います。
ライアンというローズの父親は、田舎町で居酒屋を営む一番の富裕者で権力者でしたが、誰も知らない裏切り者でもありました。
自分の犯した罪を最愛の一人娘にさえなすりつけてしまうほどの!

聖書の中でも、神の子であられるイエス様と共に寝食を共にして数限りない奇跡を目の当たりにした弟子たちですら、十字架刑を前にして「イエスなど知らない!」と平気で言ってのけてしまうのですからね。
私もその弟子のひとりと何ら変わりないと思わされる日々で、そのような自分を暴露しなくてもよい環境に置いて下さい・・・とただ祈るばかりです。

しかし、この映画はアイルランドの荒涼とした美しい海辺の場所で、色々な色合いの花が実に印象的に使われていました。
白い百合を筆頭に、死ぬまでに一度は目にしたい青いブルーベルが群生する森の中、荒れ果てた岩地に咲き乱れるピンクのヒース、海辺に咲く名も知らぬ黄色い花々・・・

音楽も淡々と美しく繰り返され、荒涼たる寄せては返す海辺の波と浩々と岩地に吹き渡る風を象徴しているような心に残る旋律でした。
人生とは実に儚く哀しく、美しい・・・

「あ~、映画ってほんと、いいもんですね。」<水野晴夫さん風に。古いかしら!?>

2008,8,26    小出 麻由美

 

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